天童荘

天童荘

旬の逸品

いちょう「八寸」

立冬。小雪。口切り
暦の上で「冬の始まり」を意味し、冬支度を始める頃。
朝晩の冷え込みが強まり、凛とした空気の中、立ち上る湯気に温泉が恋しくなる頃でもございます。
根菜類や鍋料理など、体を温める献立が何よりのごちそうです。
そして、今月は口切り。
茶道において口切りとは「茶壺の口を切る」を省略したものです。
口切りは茶の湯の一年の始まりを告げる重要な行事であり、11月は「茶人の正月」とも言われ、特別な月でございます。
当館の天童荘懐石も、茶懐石を基本としておりますので、今月は「八寸」を旬の逸品としてお出しさせていただきます。
八寸角の杉生地の盆に、酒の肴となる海の幸と山の幸を少しずつ盛り合わせ、亭主と客が酒を酌み交わすためのもてなし料理のことですが、現在では「八寸」という言葉だけが残って、盛り付ける器も料理の内容もいろいろな形に変化して供されるようになりました。
二枚のいちょうの小皿に銀鱈に鮑、柿やくわいなどの海の幸、山の幸を盛り込みました。
またいちょうは、茶道裏千家のシンボルマークでもあります。
身近なところでは、東京都や東京大学のシンボルマークにもなっております。 「長寿」「荘厳」などの花言葉を持ち、生命力と繁栄の象徴とされています。
新しい季節を祝う今月は、口福も眼福も満たしてくれる「八寸」
敷き葉などは使わず、料理のみを盛って静かに四季を描く「八寸」
華美でなく奥ゆかしい、まさに日本が誇る和食文化をお楽しみください。
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